医科個別指導

ここでは、厚生局の医科の保険医療機関への個別指導(行政指導)について記載します。

厚生局による医科の医療機関への個別指導(行政指導)の対策として重要な点の一つに、診療報酬の算定について、最新の情報に基づききちんと理解する、ということが挙げられます。

保険診療の仕組みは極めて複雑であり、完璧に理解することは困難ですが、診療報酬の請求をする以上、ルールに基づく診療報酬の算定、請求が求められます。歯科を含む医療機関への個別指導において、厚生局は、診療報酬の正しい理解を医師・歯科医師に求めてきます。

診療報酬の算定についての疑義解釈が、厚生局のウェブページ上で公表されており、この疑義解釈を熟読することで、厚生局の最新の運用・解釈が把握できます
当該疑義解釈の分量も多いのですが、医療機関への厚生局の個別指導において、疑義解釈の理解が求められることもあります。しばしば算定している項目について、たいへん忙しい中とは思いますが、最新の疑義解釈を日々確認し、理解しておくが望ましいといえます。 

以下、一つの参考として、令和元年6月4日付けの疑義解釈の事務連絡を記載します。

【以下、事務連絡】
事務連絡令和元年6月4日
地方厚生(支)局医療課
都道府県民生主管部(局)
国民健康保険主管課(部)
都道府県後期高齢者医療主管部(局)
後期高齢者医療主管課(部)
御中

厚生労働省保険局医療課

疑義解釈資料の送付について(その15)

診療報酬の算定方法の一部を改正する件(平成30年厚生労働省告示第43号)等については、「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(平成30年3月5日保医発0305第2号)等により、平成 30 年4月1日より実施することとしているところであるが、今般、その取扱いに係る疑義照会資料を別添のとおり取りまとめたので、参考までに送付いたします。

〈 別 添 〉医科診療報酬点数表関係

【FoundationOneⓇ CDx がんゲノムプロファイル、OncoGuide TM NCC オンコパネ ルシステム】

問1
令和元年6月1日付けで保険適用されたFoundationOneⓇ CDxがんゲ ノムプロファイル及びOncoGuideTM NCCオンコパネルシステムについて、同年5月31日付け改正留意事項通知において、「本検査の実施に当たっては、シークエンサーシステムを用いた検査の品質・精度の確保のために必要な措置を講ずることとし、シークエンサーシステムを用いた検査に係る適切な第 三者認定を受けた保険医療機関で実施すること。なお、本検査を衛生検査所に委託する場合は、同様の第三者認定を受けた衛生検査所にのみ委託すること。」とあるが、「適切な第三者認定」とは何を指すか。

(答)
遺伝子関連検査のうち、特にシークエンサーシステムを用いた検査の精度管理に係る認定をもつ第三者認定である必要があり、現時点では米国病理医協会(CAP)の第三者認定が該当する。なお、今後新たに適切な認定制度が確認されたら改めて周知する予定である。

問2
令和元年6月1日付けで保険適用されたFoundationOneⓇ CDxがんゲ ノムプロファイル及びOncoGuideTM NCCオンコパネルシステムについて、「遺伝子パネル検査の保険適用に係る留意点について」(令和元年5月31日付け健康局がん・疾病対策課、医薬・生活衛生局医薬審査管理課、医薬・生活衛生局医薬機器審査管理課、保険局医療課事務連絡)のとおり、「日本臨床腫瘍学会・日本癌治療学会・日本癌学会合同次世代シークエンサー等を用いた遺伝子パネル検査に基づくがん診療ガイダンス(第1.0版2017年10月11日)」(以下「3学会ガイダンス」という。)に基づき、遺伝子パネル検査の対象となる患者であって、当該遺伝子パネル検査によりコンパニオン検査が存在する遺伝子の変異等が確認された場合、当該遺伝子変異等に係る医薬品投与に際して、改めてコンパニオン検査を行い変異等の確認を行う必要があるか。

(答)
「遺伝子パネル検査の保険適用に係る留意点について」(令和元年5月31日付け健康局がん・疾病対策課、医薬・生活衛生局医薬審査管理課、医薬・生活衛生局医薬機器審査管理課、保険局医療課事務連絡)のとおりである。 遺伝子パネル検査後に開催されるエキスパートパネルが、添付文書・ガイドライン・文献等を踏まえ、当該遺伝子変異等に係る医薬品投与が適切であると医科 2 推奨した場合であれば、改めてコンパニオン検査を行うことなく当該医薬品を投与しても差し支えない。なお、遺伝子パネル検査に用いられる検体は、3学会ガイダンスにおいても「生検等が可能である場合には、遺伝子パネル検査実施のために必要な検体を採取するが、採取困難な場合はこの限りではなく、診断時等の保存検体を使用しても良い。」と記載されていることを踏まえ、再生検が困難な場合には、保存検体を使用しても差し支えない。

問3
令和元年6月1日付けで保険適用されたFoundationOneⓇ CDxがんゲ ノムプロファイル及びOncoGuideTM NCCオンコパネルシステムについて、同年5月31日付け改正留意事項通知において、「関連団体が定める「インフォームド・コンセント手順書」を遵守し、患者からの同意取得について適切な 手続を確保すること。」及び「臨床情報等の提出にあたっては、関連団体が定める「がんゲノム情報レポジトリー臨床情報収集項目一覧表」に則って提出すること。」とあるが、「関連団体」とは何を指すか。

(答)
いずれも「がんゲノム医療中核拠点病院等連絡会議」を指す。

問4
令和元年6月1日付けで保険適用されたFoundationOneⓇ CDxがんゲ ノムプロファイル及びOncoGuideTM NCCオンコパネルシステムについて、同年5月31日付け改正留意事項通知において、「当該医療機関は、患者からの求めに応じて、当該患者のシークエンスデータ(FASTQ又はBAM)及び解析データ(VCF又はXML)等を患者に提供できる体制を整備すること。」とあるが、がんゲノムプロファイリング検査を実施する医療機関が当該データを保有しない場合等、医療機関が当該データ等を患者に提供できない場合はどのような体制を整備すればよいか。

(答)
医療機関が外部機関等と適切な委託契約を締結した場合は、当該患者へデ ータ等の提供を外部機関等に委託することができる。この場合、医療機関は患者に対して外部機関等から直接データ等が提供されることに係る同意を得ること。

【手術】

問5
人工椎間板を使用して頸椎椎間板を置換した場合の技術料は、何により算定できるか。

(答)
一般社団法人日本脊椎脊髄病学会及び一般社団法人日本脊髄外科学会が定める「頚椎人工椎間板置換術適正使用基準」に従い、人工椎間板を用いて頸椎椎間板を置換した場合は、区分番号「K142」脊椎固定術、椎弓切除術、医科3椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。)「1」前方椎体固定37,240点を準用して算定する。
【以上、事務連絡】

疑義解釈は、医科だけではなく、歯科、そして薬局についても作成され、公表されています。キャッチアップはたいへんではありますが、薬局への個別指導の際にもご活用下さい。

ただし、以上の疑義解釈、最新の疑義解釈は重要ですが、まずは基本的な情報である点数表の解釈を熟読し、大きな枠組みを理解することが先決です。
そのために、例えば、厚生労働省が公開している「保険診療の理解のために」といった資料の最新版の読み込むことをまずはお勧めします。